江戸時代から引継がれる伝統工芸【奈良県】

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吉川:観光地という土地柄、外国人向けに販売されることが多いんですか?

池田さん:外国人の方も勿論多いですが、前に比べて多くなったというぐらいです。

日本人の方の方が圧倒的に多いです。

伝統工芸品と呼ばれるものですので年配のお客様方のほうが多いと思われがちですが、

私の感覚では2030代の若い世代の方々がおおいです。

あとは奈良は大きいお寺や神社が多いのでそのような所に毎年決まってご購入頂いてます。

なので男性女性問わず色んな年齢層のお客様がいらっしゃいます。

元々団扇はおめでたい物ですので、贈答用や引出物に使っていただいたりもします。

吉川:奈良団扇にとって池田含香堂さんはとても貴重な存在だと思うのですが職人になりたいと問い合わせてくる人はいますか?

池田さん:何年かに一度はやはりそのような人はいますが、私が継いでからの6年程はまだいません。

家業としてずっと家族だけで続けてきましたが、私自身家内工業にこだわっているわけではありませんのでそのような人がいれば是非技術を伝えていきたいという思いはあります。

修業の一番最初は突き掘りで使う小刀を作るとこから始まります。

自分のクセにあった小刀に仕上げていきます。

自作する小刀

吉川:このような小刀を研ぐのは感覚的な部分が大半ですか?

池田さん:そうですね。今の社会はあり程度マニュアル化されて言葉で教えてそれを理解して仕事を進めていくことが多いと思うのですが、

私たちの世界は7割程度しか言葉で教えれないのでそこから技術が向上していくのは感覚や勘を使っての自分自身での微調整なのでやはり時間がかかるところがあります。

今現在は私と母のふたりで団扇をつくっているのですが、

同じ柄を作るにしても私たち職人から見るとお互いの作品には違いがあるのがわかります。

単純に線の細さだけではなく全体の雰囲気でも違いを感じます。

そのようなところは手作りの良さだと思っています。

お客様にとっても好きな雰囲気のものを選んで頂けるという、大量生産にはない楽しみがあります。

吉川:もっとどんな人に奈良団扇を知ってもらいたいですか?

池田さん:団扇業界だけというよりは、奈良には工芸品がたくさんありますので、奈良の工芸品やものづくりを盛り上げて知ってもらいたいですね。墨や筆、一刀彫や漆など伝統工芸品は本当に多いです。

歴史の深さや製品の良さは奈良の工芸品の魅力ですので、奈良の工芸品として力を合わせて発信していければと思います。

《編集後期》

29歳という若さながら、奈良団扇の伝統を守り続けている。池田さんの表情を見ていると、奈良団扇を作ることが本当に楽しいように見える。力強く、しなやかな語り口調は今後奈良の伝統工芸を引っ張っていく存在になるのだと感じる。

池田含香堂公式HP: http://narauchiwa.com/


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