不滅の情を描く、魂震える父と息子の感涙物語【旅のお供の一冊】

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旅先や旅路での読書の時間は有意義な時間をより特別なものにしてくれますよね。わくわくしたり、涙したり、新たな価値観に触れ感性が磨かれますよね。あなたにとって新たな世界を演出してくれるそんな一冊を紹介します。

Book Presenter

とんび《重松清》

【要約】

昭和37年、ヤスさんには妻の美佐子さんとの間に待望のアキラが誕生する。幸せに溢れる日常がある悲しみによって打ち砕かれる。アキラの幸せをただ願い続けるヤスさんの姿を描いた一冊。

【書評】

本を読んで泣いたのはいつぶりだろうか。
不器用で、熱苦しすぎるヤスさんという父親の子供への愛情にただただ感動し、涙が止まりませんでした。ヤスさんをみていると、どこか懐かしい気持ちになる。実在する人物ではないのに、会ったことがあるような…きっと、子供に愛情をもつ親というのはこうゆう人を指すのではないかと感じました。ネタバレなので、アキラとヤスさんにおこった悲しみは言えませんが、不幸が起きた後も、一生懸命に生きる2人の姿に、読者として祈りを捧げる気持ちで読んでいました。ヤスさんの幼なじみ、昭雲さんや夕なぎのたえこさんを筆頭に、沢山の大人からの愛情を受けて育ったアキラ。東京に行って、時代も変わる中でアキラの中身は何にも変わっていない姿から、育った環境に納得できました。あぁ、アキラは全く不幸なんかじゃないなと。特に、アキラの入社試験での作文『父の嘘』。これにはもう涙ボロボロ…この本は、私自身のライフイベントの節目に毎度読みたいなと思います。育ててくれた家族に今一度、『ありがとう』と思える一冊です。