偉業を成し遂げたリーダーの物語【旅のお供の一冊】

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旅路の途中や旅先で読書にふけるのも旅を充実させてくれるかけがえのない時間ですよね♪お気に入りの小説やビジネス書や写真集など好みはひとそれぞれ。あなたの読書の時間をきっとより良い時間に演出してくれるそんな一冊を紹介します。

◆BOOK PRESENTER

『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』/永田和宏

偉業を成し遂げた各界のリーダーが、当時の挫折をメインとした経験を語る。

・山中伸弥先生iPS細胞「成熟細胞が初期化され多様性をもつことの発見」によりノーベル生理学・医学賞を受賞した。『この時間に、何をやったら正解というのは全然ない。うまくいこうが行くまいが、絶対自分自身の成長に繋がっています。どんな失敗をしてもいい。20代の失敗は宝物、財産です。』山中伸弥先生については、「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」という本の感想に詳細を載せています。その上で、本書では改めて、先生の揺るぎない努力と人間らしさを伺えました。おそらく、本書に出てくる偉人の中で最も人間らしいと私には感じました。全く違う分野で活躍される方ではありますが、人として尊敬しています。

・羽生善治先生08年に名人通算5期を達成し、十九世名人の永世称号資格を得た。『その場の勝ち負けやまわりの評価も大事ではありますが、何事にも動じずに長く続けていくためには、自分で自分のことを正確に認識し、評価することが大切です』将棋の世界では、若い世代のアイデアから新しい流行や戦法が生まれてくるケースが多いからこそ、先生は自分のスタイルを通していく一方で新しい発想も勉強していると仰っていました。これは、社会でも言えることだなと思います。自分のスタイルを貫く一方で共存社会だからこそ、まわりとの調和を図っていくことも大切。

・是枝裕和監督『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭にて史上最年少の最優秀男優賞受賞。『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞受賞。『ディレクターになって1本目の番組でそんな失敗があったおかげで、その後、僕はものすごく演出というものに対して自覚的になりました。』あの、是枝監督が、そんなミスをしてしまったの?!と思う経験が盛り沢山でした。これをきっかけに、演出についてものすごく深く考えるようになったそうで、そんな深くまで撮影に思考を巡らせているんだと驚きと発見の連続でした。

・山極壽一先生類人猿の行動や生態をもとに初期人類の生活を復元し、人類に特有な社会特徴の由来を探り続けている日本の霊長類研究の第一人者。『自分のやってきた活動を自分の将来に生かすだけでなく、自分の思い描いている社会を実現させるために自分の経験を生かしたいと考えているのです。』アフリカで長年ゴリラの生態について調査してきた山際さんですが、ゴリラの特性の面白さにまず気づきを得ました。また、1番素晴らしいと思ったのが、先生がゴリラについて調査する意義について。先生は、対立する民族が一緒にゴリラを見に行った際に、自分たちが同じ人間であることを気づき、対立をやめようとなることを信じているそうです。そして、私たち人間も、自然と命がつながって共存していることを実感し、自分の進化の縁を見つけることができれば、平和が訪れると信じていると仰っています。素晴らしすぎませんか…そんな角度から平和を求める人がいることに感動しました。近年、偉人を見れば憧れを抱くよりも、天才と奉って異次元の人だと思い込んでしまう若者が多い。それを危惧した著者の永田さんが、偉人の挫折を通して身近な人として捉え、一歩踏み出すモチベや勇気へと繋げて欲しいとの思いで書かれたものが本書です。4人の先生の経験、人生を通して、勇気をもらいました。ぜひ、モチベーションを上げたい!って方におすすめしたい一冊です!